待望の加筆復刻版

魔女が教える幸せ魔法

参考にできる魔女術書がなかった日本で、2010年に出版された本書は初心者からマニアまで幅広い支持を集めてきました。残念ながら出版元の移動などで絶版になったことで入手困難となり、中古本市場では鰻登りのプレミア価格になってしまった本でもあります。2023年に満を持しての加筆再販が決まり、ソロで魔女を目指す人への指針として期待が寄せられています。

ヘイズ中村著『魔女が教える幸せ魔法』の表紙
  • 著者: ヘイズ中村
  • 発行: 説話社 / 2023 年
  • 体裁: 四六判ハードカバー / 298 ページ
  • 内容説明
    • 私、じつは魔女なんです
    • 魔女についての質問に答えます
    • 魔女になる基本のトレーニング
    • 健康、美、愛やお金の魔法とは
    • 一人で魔女になるには
    • カヴン活動を成功させるには

魔女になりたい、魔女の世界をもっと知りたい。そんな願いを感じている人たちは日本でもかなりの数に登るのではないでしょうか。でも、市場にあるのは日本とはかなり社会情勢が異なる欧米魔女の著作の翻訳本、オカルト・グッズを売りつけようとするだけのカタログのような入門書ばかり。どれも帯に短し襷に長し、という感じでしょうか。それでは、とウェブで情報を探そうにも、出てくるのは扇情的な活動がアップされる動画サイトばかり。

それが日本の魔女術を取り巻く状況でした。いや、現在でもたいして変わっていません。結果的に真剣に学びたい、修行がしたい、という人は途方に暮れてしまうだけなのです。本書はそのような状況が少しでも改善することを願って、誰でも真面目に努力を重ねればできる初歩の魔女修行を書き記した本です。

このお話を受けたときは、私が一冊の本を書いたくらいで現状を変えられるのだろうか、ととても不安だったのを覚えています。それでもせっかくのチャンスを活かそうと上梓に踏み切ったところ、10年以上の月日が経っても多くの魔女志願者の方々から「参考になった」という声が届き続ける本になりました。特に初心者の方、何もわからないとためらっている方にお勧めしたい本です。

まず本書では、ぼんやりとしたイメージで使われている「魔女」の定義から始めています。悪魔と関係するのか、とか、人を思い通りに操るのか、といった歴史的な誤解にも丁寧に回答しています。そんなことは関係ない、と切り捨ててしまうこともできますが、周囲の誤った思い込みを放置していれば、ちょっとしたきっかけでそれが雪だるま式に膨らんで、やがてはかつての魔女狩りのような悲劇につながらないとも限りません。ええ、そうした注意も入っています。

ここまで読んでみて、「魔女なんてつまらない」と思った人が、少なからずいることでしょう。私も最初に魔術の本を読んだときは、2〜3日ふて寝するくらいガッカリしました。でも、昔の私のように、数日たってから「予想とは違ったけれど、これはこれで面白いかも」と、皆さんのうちの何割かが感じ始めてくれれば、とても嬉しいです。

実際に伝説の霧がクリアされてしまうと、安心できる反面、なんだ、結局はトレーニングしたりしないといけないのか、と落胆される方もいるでしょう。でも大丈夫、地道に続ければきっと成果が出てくる方法もご紹介してあります。

普段のヘイズ中村は魔女術も儀式魔術も同等に「魔術」という言葉を使っています。でも本書ではあえて「魔法」という言葉を用いて、堅苦しさを取り、アプローチしやすい表現を心がけました。

肝心のその魔法は実在するのか、そしてどうしたら効果をあげるのか、も知りたいですよね。色々なおまじないを実践してみたけれど効果はなかった、という人も、おまじないと魔法の違いを知れば、きっと納得できるでしょう。そして、どんなときに魔法が効力を発揮するのか、という肝心なポイントも見逃さないように記載されています。

簡単な占い、瞑想、そして魔女がこの世界をどんなふうに捉えて行動しているのか。そのような基礎的で、でもこれまでは誰も教えてくれなかった情報をわかりやすくまとめたのが前半です。後半ではそこで学んだ考え方を上手に活かして、毎日の生活の中で魔女らしく宇宙や自然と同調しながら少しだけ、生きることを楽にする願望のかなえ方などを説明しています。

少しでも参考になればという気持ちで魔女生活のトレーニング・リストを挙げてみました。これを絶対全部こなさなければならないというわけではありませんし、こなしたら素晴らしい魔女になれる!という保証もありません。ただ、一つのサンプル例として考えてもらえれば、と願っています

前回の出版から、こんなときはどうしたら良いのか、あるいは特定のトラブルにはどう対処するべきか、というお悩みの声が届いていました。また、どうしたらより体系的なトレーニングができるのか、という質問も。そうした疑問にお答えするために、加筆分では具体的に毎日、簡単に繰り返せるトレーニングについても詳しく具体的にお話しすることにしました。無理をせず、できることから始められるように様々な例をあげてあります。

また以前よりも大きな問題になってきた「デジタル情報と魔女活動の問題点」についても、かなり切り込んだ著述をしてあります。誰もがウェブ経由で意見を発表できるのは素晴らしいことですが、こと魔術修行となるとそこには利点よりは問題点の方がずっと多いのも事実なのです。魔女術の修行とインターネットの安全な利用方法についても、参考にしてほしいことなどを盛り込んであります。

そして、加筆前の本書では語らなかった「カヴン」つまり魔女たちのグループ活動については実際の運営方法や、そこでの儀式に関する考察、またどんなことに気を付けていくべきか、といった詳細をヘイズ中村の経験からできるだけ詳しく記してあります。注意書きが多くてびっくりするかもしれませんが、それだけ生身の魔女が複数人揃うということは大変で、かつ素晴らしい経験にもなるはずです。カヴン結成の儀式への提案も入っていますよ。

今回の加筆を経て、この本はソロであっても、グループであっても、真面目に魔女を目指す人たちによりお役に立てる書籍になったのではないか、と自負しています。周りに誰も理解者がいなくて孤独に負けそうなとき、あるいはインターネットからの情報の洪水に押し流されてしまいそうなとき。本書を手に取っていただければとても嬉しいです!

著者について

ヘイズ中村は子供の頃から神秘の世界に魅せられ、長じて占い師、魔術研究家になりました。とくにトート・タロットに惹かれて『決定版・トート・タロット入門』も執筆しました。隙間時間には下手の横好きなレース編みをしたり、異次元に想いを馳せられるSF映画など楽しんだりしています。

ヘイズ中村は下記のサイトでも活躍しています。ご意見や質問などお待ちしております!