増補改訂・決定版

トート・タロット入門

世紀の大魔術師アレイスター・クロウリーが製作し「史上最高のタロット」と称されてもう約半世紀。類稀なる美しさと緻密さ、精密に計算され尽くした魔術理論に裏打ちされたトート・タロットですが、使うための参考資料があまりない、あっても非常に難解だ、ということでもまた、有名でした。この本には、その知的空白を埋める最初の一歩に最適な情報が入っています。

ヘイズ中村著『トート・タロット入門』の表紙
  • 著者: ヘイズ中村
  • 発行: ワンパブリッシング / 2023 年
  • 体裁: 四六判ハードカバー / 415 ページ
  • 内容説明
    • トート・タロットの特徴とは
    • カードの意味と解釈を詳細に
    • もちろん占い方法の説明もバッチリ
    • トート・タロットを生み出した世界
    • パス・ワーキングに使うならば
    • 占い技法への一問一答も

「そこに山があるから登るのだ」ではありませんが、タロットを使う人ならば一度は手に取るだろうといわれているトート・タロット。しかし、エベレストへの登山を諦める登山家が多いように、トート・タロットもまた、手に取っただけで実際の使用は諦めてお蔵入り、またはコレクターズ・アイテム化してしまうことが多いようです。ときには自分なりの(というか自分勝手な)使用法を編み出してしまう方もいるようですが、どちらにしても素敵だけれど使い方が分からない、というのがこのタロットへの登山を困難にしているのは間違いありません。

本書では40年以上のトート・タロット研究歴、だけではなく苦闘歴をも誇るヘイズ中村が、その分かりにくさに正面からぶつかって一つ一つ、山への道を切り開いていきます。他のタロットとどのように違うのか、どこに気をつけて使うべきなのか、あるいは逆にリラックスして自分の直感を信じて良いのはどの部分なのか。そしてクロウリー著の『トートの書』以外に、理解の助けとなる参考資料はあるのだろうか。そんなトート・タロットに向かい合う人が抱きやすい疑問を丁寧に解き明かしていくのです。

正直、それほどのタロットに、どのような解説を書けばよいというのか?と頭を抱えたことも少なくない。悩みに悩んで出した最後の答えは、数十年前の自分が必要としたであろう内容を書こう、というものだった

晩年のアレイスター・クロウリーがそれまでの魔術人生の全てを込めた、といっても過言ではないトート・タロット。その全てを語り尽くすのは何十冊の本をしても足りるものではないでしょう。だからこそ、本書では作者クロウリーの魔術哲学を捻じ曲げずに伝え、その思想の背景を構築する世界観も丁寧に列挙してあります。おそらく本書をじっくり読んでいただければ「何から手をつけたら良いのか分からない」といった絶望的な気分から「やることはいっぱいあるけれど頑張ろう」くらいには、グレードアップしていけることは請け合いです。

いや、それだけでは飽き足らない、もっと深いトートの世界が知りたいんだ、という方のためには、カードを使用してのスクライングやパス・ワーキングの技法も解説してあります。技法が高度になるほど、ご自身での研究や練習時間も長くかかるものではありますが、そのためのスタート・ラインに立つための要素はすべて記してあります。

本書が最初に刊行されたときは、スタンダード版のトート・タロットがセットになっていましたが、こちらの増補改訂版は書籍のみの販売です。その分、机にパタンと開いて参照しやすい綴じ方が施されていますし、以前の読者の方々からの質問に細かく答えた第五章も加筆しました。トート・タロットのファンにはもちろんのこと、他のタロットからちょっと上を目指したい人や、西洋魔術の世界をのぞいてみたいという人にもきっと楽しんでいける書籍になっていると思います。

著者について

ヘイズ中村は子供の頃から神秘の世界に魅せられ、長じて占い師、魔術研究家になりました。とくにトート・タロットに惹かれて『決定版・トート・タロット入門』も執筆しました。隙間時間には下手の横好きなレース編みをしたり、異次元に想いを馳せられるSF映画など楽しんだりしています。

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