ヘイズ中村の魔術講座3

性魔術

魔術的な話題が普通の雑誌などにしばしば掲載されるようになった昨今でも、どこかタブー感が漂い大っぴらには語り合えない題材が「性魔術」でしょう。人間の生存本能という最も強烈なエネルギーにアクセスしたい、という真正面からの取り組みと、メディアなどが興味本位でセンセーショナルに歪めてきた性魔術の本質について考える、同人誌ならではの濃厚な一冊です。

ヘイズ中村著『性魔術』の表紙
  • 著者: ヘイズ中村
  • 発行: 魔女 ☆ Maison / 2017 年
  • 体裁: A5 判ペーパーバック / 66 ページ
  • 内容説明
    • 性魔術は危険なだけなのか?
    • メディアが広める誤解の数々
    • 現代西洋魔術と性エネルギー
    • 魔女術ではどう扱われているの?
    • 性魔術をどう考えるべきか

これまで西洋魔術や魔女術に興味がある、研究しているという人々でもあまり公には語ってこなかったのが、そこに含まれる性魔術の技法でした。その一方で、最近ではインターネットを利用して露悪的なほどに自分たちの性的行為を公開し、これこそが性魔術だ!と主張するグループも現れています。そんな両極端な状態に挟まれて、本来の性エネルギーの活用法はいまだに五里夢中の状態に止まっているような気もします。

またその状態を悪用して、真剣で真っ直ぐな魔術志願者を性的に食い物にする悪徳グループが存在するのも否定できません。性魔術が危険だといわれるのは、実際の技法そのものより、そのような犯罪紛いの行為が多いからでもあります。この本は、ヘイズ中村が見聞したり相談された事例を交えながら、まずはそこから警鐘を鳴らしていきます。

もちろん、その本質が知りたい、という方々のためには、性魔術の根拠や歴史的な意義などの徹底的かつ分かりやすい解説も入っていますのでご安心ください。

じつは、西洋魔術というジャンルの中で性魔術が最も表に出てきているのは魔女術です。となると、日本でよく見かける「ハーブ魔女」というのは、いささか本質からズレているのではないかと思えます

確かに日本では自然と交流しながらナチュラルな生き方を目指すのが魔女、といったイメージが広がっています。でもその大元の源流である「ガードナー派」などは、儀式性交まで含まれるかなりガチな性魔術です。童話などで広まった穏やかで笑顔を浮かべる魔女たちのイメージが180度ひっくり返るかもしれない、近代魔女と性魔術の関わりも隠さずに記してあります。

またこれまでさまざまな魔術書では曖昧に表記されるだけだった技法なども、実際にはどのような思想と手順で行われるのかを紐解いて解説。世界中に残る性的エネルギーの活用法の実例も豊富にあげてあります。

とはいっても、この本は性魔術の根本的な思想を考察するものであり、露悪的で愛のない行為を紹介するようなものではありません、そのため、成人指定ではなく、ある程度の文章が読める年齢になっていれば、問題なく購入していただける書籍に仕上げてあります。

また最後には、性的衝動だけではなく抑圧された潜在意識なども現れるとされる「夢」について『ムー』で好評を博した連載ものも収録してあります。ぜひ、本書でさまざまな視点から性エネルギーや深層心理を探求してみてください。

著者について

ヘイズ中村は子供の頃から神秘の世界に魅せられ、長じて占い師、魔術研究家になりました。とくにトート・タロットに惹かれて『決定版・トート・タロット入門』も執筆しました。隙間時間には下手の横好きなレース編みをしたり、異次元に想いを馳せられるSF映画など楽しんだりしています。

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