カード占い雑感

色々使えるにしても

しばらくブログをお休みしちゃってすみませんでした!新しく始まった魔女講座や、今月末に開講する錬金術講座の準備でてんてこ舞いだったところに加えて、持病の薬が変わったのがどうにも体に合わずにダウンしたりして、すっかり時間がなくなってしまいました。今回は、その前から考えていた「カード占いは色々できた方がいいのか」について書いていきます。

一昔前はカード占いといえば、タロットかトランプかしかありませんでしたが、最近では、ルノルマンカードのような歴史のある占いカードも手軽に使えるようになっています。また、オラクルカードと総称される様々なオリジナルの占いカードもたくさん流通していて、まさに百花繚乱の様相を呈しています。そんな状況があるため、ご自分の名刺の裏に、得意占術として多数のカードの名前を記載する占い師さんも増えてきました。

たくさんの占術が書いてある方が、能力のある占い師に見える、と豪語される方もいます。そのせいでしょうか、最近「ヘイズ先生はタロットしかできないんですか?」という質問を受けることが増えてきました。質問される方は本当に不思議そうな表情をされているので、馬鹿にしているのでもなんでもなく、本心から理解できないというお気持ちなのでしょう。

できるんですけどね

最初に白状すると、私は大抵のカード占いはできます。トランプはもちろん、有名どころのオラクルカードも使えます。今人気のルノルマンも、ルノルマンの占いサイト構築に協力したり原稿書いたりしましたから、ちゃんと使えます。誰ですか、そこでびっくりしてるのは??

これはびっくりするようなことではないのです。カード占いは卜占ですから、命占の西洋占星術などと違って、西洋神秘学の象徴を読み解けて、ベーシックな該当カードのルールがわかっていれば、どれも似たようなものですから、プロならば占えてしまうはずです。逆に、カードごとの説明書が違うから占えないなどと嘆いているようでは、まだアマチュアかな、と。

私のタロット講座に来た方々は、一枚一枚の意味ではなく、四大エレメントや様々な象徴の意味を覚えさせられます。理由は、それさえできていれば西洋文化圏のカードは全部使えるからなのです。ただ、それだからといって、カード占いは象徴と絵柄を読んでおけばいい、などと思うのはとんでもない誤解なんですけどね。

でもタロットなんです

どのカードでも使えるのならば、なんでルノルマンで占って欲しいとお願いしたのに、断るんですか?というご質問に関しては、トートの方が得意だから、というシンプルな回答になります。できる、ということと、ベストだ、ということの間にはマリアナ海溝より深い溝があります。確かにルノルマンを使っても、それなりの占いはできるとは思いますが、私がトートでお答えできる内容とは、雲泥の差があるからです。私はもう四十年以上、トートにどっぷり使って占ってきました。そこから得られる回答と、単に説明書を読んだだけの他のカードからの回答に違いが出るのは当然でしょう。お客様にベストの回答を伝えたいと思うのは、当然です。

そして、多くのカードが使える、と称している人たちの弱点はコレの裏返しだといえるでしょう。説明書を読んで使えるようになった程度のレベルと、それで第三者を占えるレベルは全く違うことに気がついていないのでしょうか。というか、そんなお茶を濁す程度の占いをしていたら、今の世の中、AIのコピペ文章に負けてしまうんじゃないかな、としか思えません。

もちろん、何らかの大災害が起きて、タロットカードが全く私の手元になくなってしまったら、トランプを手に取ってでも占いは続けるでしょうし、そのときは全力投球します。でもそんな非常時でもない限り、占い師に占いを依頼する際には、基本的にその人が一番得意な占法に任せた方がお得だと思います。そして、占い師さん側も、やみくもに使える占法を増やすことに執着するのはやめた方が良いのでは。

一つに絞らないと

様々な料理のシェフたちは、専門以外の分野の料理もきっと素人よりは上手なはずです。でも自分の得意な分野に、他の料理も無節操に組み込む人はあまりいません。それに、フレンチ、中華、懐石などとダラダラ書き連ねられた暖簾をみたら「ああ、結局はどの料理も並程度なんだな」くらいしか思わないですよね?

多数のカード占いができることは、悪いことじゃありません。ただやっぱり、自分にとって何がベストなのかは決めておいた方が、長期的には良いアピールポイントになるだろうと思います。そして、お客様としても、ヘイズ中村にわざわざルノルマンで占わせてやる!なんていう挑戦は、時間とお金の無駄ですから、やめましょう。

著者について

ヘイズ中村は子供の頃から神秘の世界に魅せられ、長じて占い師、魔術研究家になりました。とくにトート・タロットに惹かれて『決定版・トート・タロット入門』も執筆しました。隙間時間には下手の横好きなレース編みをしたり、異次元に想いを馳せられるSF映画など楽しんだりしています。

ヘイズ中村は下記のサイトでも活躍しています。ご意見や質問などお待ちしております!