夢占い徒然

占いよりは分析かも

古今東西、さまざまな文化圏で夢は神々、天使、故人、精霊などなどといった神秘的な世界からのお告げだとされてきました。悪夢を見たので旅行を取りやめたら事故に巻き込まれずに助かった、などという話もよく聞きます。また、タイタニック号のような桁外れの災害の際は、複数の人が異なった形で事故を夢で見て事前にキャンセルしていた、といったエピソードが数多く報告されています。本当に夢は未来を告げるのでしょうか。

最近のSNSで、多くの人が薄汚れたトイレしか見つけられなくてトイレに入れなくて困ってしまう、といった内容の夢を見ているという報告が相次ぎ、話題になりました。一般的にはトイレが汚れていて入れない夢は、「生活のどこかで処理しきれていない不快感」「切り替えたいのにできない感じ」を象徴することが多いとされています。汚れているほど、自分では片付けたいのに手が回ってないとか、嫌なことを受け止めたくないといったニュアンスになりがちです。さらにトイレの中にも入れないのは、現実でのストレスが強くて前に進めない状態を反映することもありえます。これって、現代日本の息が詰まるような状態をよく示していると感じます。

こうした多数の人が同じ夢を見る状態は、心理学者のユングによれば共通潜在意識のせいだ、ということになっています。ユングは大戦前のドイツでは、とても多くの人が夜明けに北欧神話の騎士を思わせる勇者が空を駆け抜けるといった夢を見ていたことを記録していました。あ、内容は文献が見つからなかったから記憶に頼ってます。細部が間違っていたらごめんなさい。ユングはこうした民族に共通する夢を、大きな夢とも称していて、その民族のターニングポイントが示されるのではないかともしていました。勇者と汚れたトイレとではなんとも悲しい比較になりますが、確かに何か深い意味があるような気がしてなりません。

個人レベルでは

個人レベルの夢は、最近ではウェブ上にも簡単な解釈が載っていますから、いつまでも記憶に残って気になるような内容だったら、気軽に調べることが可能です。でもこのときに注意しなければいけないのは、夢はあくまでもあなた個人がどう感じたか、日頃からどんな生活を送っているか、といったことに大きく左右される、ということでしょう。例えば、最近の流行の解釈では病院で点滴治療を受ける夢を見ると、健康運上昇を意味することが多いようです。その理由は、病院は健康不安を、点滴は回復を表すので、合わせて健康状態が回復する、運気が回復するということになるのだとか。

でもプロ病人の私にとって点滴の夢は、今すぐベットから飛び出て病院へ飛び込めバカもの!という意味にしかなりません。また看護師さんが出てくる夢も、大抵の場合は体調不良の様子を見ていないで、さっさとプロの意見を聞きに行きなさい、の示唆以外にありません。皆さんも、自分のライフスタイルの中でその夢が示すことをよく考えながら解釈していってください。

忘れられない夢

そんな私が忘れられない夢は、六歳くらいまでの時期に繰り返し見た夢です。その夢では幼い私はたいてい、大きなガラスドアや鏡の前に立っていました。でもそこに映っている姿はいつも高校生くらいの性別不明の長髪の人の姿でした。性別不明だと当時の私が思ったのは、長い髪をしていて顔立ちは私の母によく似た女の人に見えるのに、紺色のズボンを履いていたからです。そう、当時の女性は大掃除など特別なときでなければスカートか着物でしたから。その人は特に何か言うわけでもなく、ただ、鏡の中に立っていただけ、という夢でしたが、本当に何回も見たので忘れられませんでした。

何度も繰り返してみた夢ですが、いつか自分自身が高校生になった頃。秋葉原の書店でそこのドアに映った自分の姿がふと目に入ったとき、驚きのあまりそこに立ち尽くしてしまいました。ドアに映っていたのは、長髪でブルージーンズを履いた、幼い頃の夢の中の人の姿そのままだったからです。あまりに驚いたので、欲しかった本も買わずにその日は帰宅してしまいました。

後になって考えると、夢をしばしば見ていた頃の私は病気がひどく、大学病院に通っていても、この子は大人になれないかもしれない、と言われ続けていた子供でした。周りの態度や発言から、幼心にもある程度は覚悟をしていた状態でもありました。そんな子供に、大丈夫だよ、良い薬ができて君はこんな洋服を着る高校生くらいまで生きていられるよ、と何かが夢を通して教えてくれたのでしょうか。これくらいのレベルになると、個人の潜在意識からの通信では片付けられないような気もします。

でもまだまだ、夢の世界は全て解明されたわけではありません。身近な神秘現象として、夢と向き合う時間をとってみるのは面白いと思いますよ。

著者について

ヘイズ中村は子供の頃から神秘の世界に魅せられ、長じて占い師、魔術研究家になりました。とくにトート・タロットに惹かれて『決定版・トート・タロット入門』も執筆しました。隙間時間には下手の横好きなレース編みをしたり、異次元に想いを馳せられるSF映画など楽しんだりしています。

ヘイズ中村は下記のサイトでも活躍しています。ご意見や質問などお待ちしております!