タロット購入の秘訣

こんなところを要チェック

タロット・カードでの占いが同じ卜占である易などと大きく異なるのは、使用するカードごとに絵柄やカードの寸法が大きく異なったり、ときにはその意味にも違いが出てくることでしょう。そこがタロットを使う面白味の一つでもあるのですが、何を選べば良いのかわからない、という悩みにも繋がります。今回は、自分に合った最初のタロットを見つけるポイントをお話ししたいと思います。

一口にタロット・カードといっても、普通に流通しているものだけで約2000~2500種、限定盤まで入れると毎年約4000種以上が市場に出回っているわけです。迷ってしまって当然ですよね。今ではさまざまなタロット・カードを見比べて選べる店舗もけっこうあるようですが、そんなところでは当然「手にとって、お好きなものをお選びください」と言われます。それはそうです、誰もあなたに良いタロットがなんなのか、は決められませんから。では何を基準に「お好きなもの」を決めるのがベストなのでしょうか?

好きか、使うか

まず、タロットが好きで色々集めたい人と、自分にとって使いやすい・占いやすいタロットを選びたい人では着眼点が違うということに気づきましょう。もちろん、好きで集めたいしそこから使いやすいものを選びたい、という人もいるでしょうけれど、その場合はまず「好き」から始めれば良いので、少しアプローチは楽になります。好きならば、あまり細かなことは考えずに絵柄が気に入ったものを購入するだけ。とはいっても、お財布の中身は気にしてくださいね。とかく最初のうちは目が欲しがってしまって際限がなくなる人が多いのです。あと欲望に任せて買い集めて、イナバの物置を庭に一つ建てた、なんていう猛者も結構おられる模様。買うときは収納場所も考えるようにしましょう。なんといっても紙製品ですから、保管状態が悪くて山のようなコレクションが全部カビでダメになってしまった、なんてこともありえます。

では使うために選ぶ場合は、何を基準にするべきでしょうか。通販サイトなどの膨大な情報量の前で迷ったり、綺麗な画像に陶酔してあれも・これもと手を出してしまう前に覚えておいていただきたいのは、次の3点です。まず基本のライダーとマルセイユを一つずつ、それもオリジナル、と名前についているものを選びましょう。どちらも比較的安価ですから、両方買っても5千円前後で収まるはずです。ライダー版だけでいいや、とする人が多いのは確かですが、タロットの原点を知っておくために、マルセイユ版も一つは手元においておきましょう。そして、アニメや猫など特殊な絵柄に特化したものは最初は避けてください。遊びにはよくても、学習には不向きですから。

絵柄以外の注意点

そしてもう一点は、あなた自身の手の大きさと握力の強さです。一般的なタロットの大きさは12センチ × 7センチくらい。これをしっかり扱うのは案外、大変です。その上、タロットは一組78枚なので、普通のトランプなどよりは量があります。できれば実際にカードを手に取れるお店で試すのがベストなのですが、不可能だったら、まずは自分の握力とご相談を。握力がない人ならば、ミニサイズも合わせて購入することを考慮した方が良いのです。この場合は、カードに描かれている象徴などが読み取りにくくなる欠点があるので、学習する際はオリジナルサイズを使ってそれを補うようにしましょう。

最後の一点は、78枚フルセットかどうかを確かめて買う、ということです。まずちゃんと占えるようになりたいならば、大アルカナ22枚だけのものは使えません。じゃあ、とフルセットという表記のあるタロットを選んだのに、なぜか58枚しかないということもありえます。特に、イタリアやスペインでは、小アルカナの枚数が少ない「タロッキ」と呼ばれるカードの人気が高いので、このような現象が起きてくる可能性があります。ヨーロッパ製のタロットには独特の美しさがあるものが少なくありませんが、最初はちょっとハードルが高いのも確か。マルセイユ版は本場フランスのもので大丈夫ですが、それ以外のタロットでは、必ず78という文字を確認してから購入するようにしましょう。

魔術的な学習には

これでほぼ、最初の一歩のためのタロット選びは完了です。でもそれだけでは物足らないという人もきっといますよね。もっと魔術的な学習もしたいという方は、基本的なゴールデン・ドーン系のタロット(ゴールデン・ドーン、ヘルメティック、トート、ガレス・ナイト、BOTAなど)を、ライダー版とマルセイユ版にプラスして揃えると良いでしょう。最近は他にも色々と魔術的なタロットが出ていますが、基本を抑えないうちに範囲を広げてしまうと混乱するだけですから、がまん、がまん。フランス薔薇十字団系のタロット(タロット・オブ・ボヘミアン、オズワルド・ワースなど)は、生命の木との対応がゴールデン・ドーン系とは少し異なっているので、将来的にパス・ワーキングなどを学ぶにはちょっと使いにくいことにも要注意、なのです。

ここまでの過程で、もう複数のタロットを購入してしまうこともあるでしょう。そう、そのように引き込まれる魅力がある物なのです、タロット・カードとは。そうしたらあとは、全て開封して、触って、シャッフルして、色々と占ってみましょう。単に図柄を眺めているだけでは、最終的な相性はわかりません。カードが自分に語りかけてくれるような気がする、あるいはこのカードのためならば面倒な学習も厭わない。そんな気持ちになる一点と巡り会うまで、楽しい試行錯誤を繰り返していってください。きっと、これだ!というカードに出会えるはずですから。

著者について

ヘイズ中村は子供の頃から神秘の世界に魅せられ、長じて占い師、魔術研究家になりました。とくにトート・タロットに惹かれて『決定版・トート・タロット入門』も執筆しました。隙間時間には下手の横好きなレース編みをしたり、異次元に想いを馳せられるSF映画など楽しんだりしています。

ヘイズ中村は下記のサイトでも活躍しています。ご意見や質問などお待ちしております!